第10回 花粉のお話

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©ふわこういちろう

 花粉のお話をしたいと思います。この時期にこのタイトルですから,もう読むまえに内容が想像ついちゃいそうですけどね。はい,花粉症なんですね。わたし。それでいまこのブログの原稿をじつは鼻水をたらしながら書いています。垂れ流しでいいのかって? ええ家ですし,だれもみてないですし,マスクしてますし,あっ。でもいまマスクの下から鼻がたれてきたので,いったんかみにいってきます。……。はあ,すっきり。って,本当に鼻かんできたところですし,先ほどまで本当に鼻たれてました。またたれてこないうちにこのブログの原稿を書き終えたいところなんですけどね,でもたぶん無理ですね。

 ちょっと今年の花粉はいつもよりひどくないですか。よく量が多いと少ないとかいいますが,わたしのなかでは量の多い少ないにかかわらず,ひどい年とそうでない年があります。このまえゼミ生に「先生いつから花粉症なんですか」と聞かれたので,ヒストリーを話したのですが,わたしに花粉症のひどい症状が出たのは中学生のときですね。いまでは小学生から花粉症の人もふつうにいるみたいですから驚くことではないかと思いますが,当時(1980年代後半のお話しです。ワープではありません。あとでワープする予定ですけど),花粉症の人ってまだほとんどいなくて,社会的にも相当少数派の変な病気だと思われていたころだったと思います。そしてわたし自身も「おれ花粉症なんだよ」とマスクをして登校する同級生の男の子をみて,鼻の穴に入ってしまった花粉がとれなくなり,そこから植物かなんかが生えてきてしまうこわい病気なんじゃないかと想像して,内心気味悪がっていたくらいです。で,そうです。わたしもそのときすでに花粉症だったのですが,自覚はしていなかったのですね。中学3年生の2月か3月ころ,授業中にくしゃみが止まらなくなり死にそうになることがよくありました。これをわたしは鼻炎か軽い風邪だと思っていたのですが,いま思うと花粉症の初期症状でした。そのことを自覚したのは高校2年生の春休み。同級生とスキー旅行に行ったときだったのです。

 って,ここでワープを使ってみましょう。久しぶりのワープです。というか,本当にすみません。最初に謝罪をしなければと思いつつ,鼻たれる花粉の勢いでごまかしてしまおうなんて思っていましたが,良心の呵責が出てきました。同時に鼻もまたたれてきたので,いったん鼻をかみます。……。ふう。って本当にかんでます。はい。で,この原稿を書くときにですね,パソコンのデータを「ブログ」って毎回つけて保存してあるのですが,そこにわたしは作成した年月日も記載しているんですね。で,前回のブログの原稿データのタイトルに「151214」とあったのですね。はい。で,今日は160316なんですよね。書き出したときは160315だったんですけど,細かいですね。はい午前0時過ぎですいま。それなのに鼻たれで,目も充血してかゆいんですよ。あ,また鼻たれる勢いで謝罪をするのをごまかしそうになってしまいました。

 すみません。わたくし,1か月以上まえに弘文堂の編集者の方からですね,別件のメールをいただいたときにさりげなく,「ブログの原稿も首を長くしてお待ちしております」という追伸めいたものをいただいていたんですね。はい。3か月も空けてしまいました。編集者の方には「ゆるゆるの気分じゃなくなっちゃんたんですよねー。すみません」なんてゆるゆるなご返信をしておきながら,そこからさらに1か月以上わたし原稿を書かないできてしまいました。言い訳をしますと花粉症……ではなくてですね,1月はセンター試験の監督があり,学内の期末試験の監督と採点・成績つけがあり,そのあとすぐに入試の試験監督そして採点があり(学部だけでなく大学院も問題作成,採点,面接などけっこうあったんです)……で,弁護士から大学教授に転身して初めての「かなり緊張感のある毎日」がずっと続いたんですね。それでなんというか,本当にこの「ゆるゆる時間」に書けるようなネタがみつからなくなり,かつモードが「ゆるゆる」ではなくなってしまったんですね。ってわたし,もともと「ゆるゆる」な人間ではないですよ。これ「ゆるゆる時間」ってタイトルのブログになっていて,そんなモードの文章を書いてるだけですからね。って,これは本当です(笑)。本当かなー。

 それはさておき(謝罪は以上です!でも幸いなことに3か月あけていても,どなたからも「ゆるゆる時間」の次回更新はいつですか,まだですかという問い合わせはありませんでした。みんなやりますね。なかなか,嬉しいようなさみしいようなですけど),花粉の話に戻りましょう。今日はどこにワープするかというと,高校2年生の春休みです。クラスメイトとスキーにナンパをしにいったのですが,って違いました,スキーに行ったのですが,ゲレンデでスキーを始めたら,高校の春休みは3月末ですからね,これ花粉満載の時期なんですねいま思うと。それでゲレンデに出るまでなんでもなかったのに,突如くしゃみと鼻水の嵐が始まったのですね。鼻炎か風邪かと思ったのですが,そのくしゃみと鼻水は治ることなくスキー中は鼻たれ野郎になり,宿泊先の部屋に戻ってもずっと鼻たれなんですね。しかもくしゃみをするときに鼻をとりたくなるくらい,むぎゅうってのがやってきて。思えばあのゲレンデ,杉山ですよ。杉山。花粉だらけじゃないですか。で,そのとき同じ民宿に泊まっていた女子高生とせっかく話ができたのに(ナンパじゃないですよ),鼻たれ野郎が止まらずに,もう台無しだったわけですよ(何が台無しなのかわかりませんね)。

 そのとき自分が花粉症だとわかっていれば花粉症の薬でも飲んで症状を和らげることもできたのでしょうけど,花粉だとわかっていなかったので,薬を飲むこともできず4日間ずっと鼻たれ野郎だったわけです。

 その後に「あれスギ花粉のあるところに行って出た症状だったよな」とわかり,ようやく花粉症であることを自覚することになります。こうしてわたしは毎年,花粉症の時期は薬を飲み続けて症状を止めるようにして過ごしてきました。とくに司法試験受験時代は択一試験の模試が毎週ある時期でしたので,毎日薬を飲んで花粉症の症状を止めていました。

 そんなわたしが昨年なんと(ちょうど40歳だったのですが),花粉症の症状が出なかったんですよ。すごいでしょ? それで40歳になって身体も生まれ変わり,このつらい花粉症もようやく終わったのだと思って,けっこう喜んでいたのですね。ところがそれを人にいうと「もう枯れたんじゃないですか」とか「おじいちゃんになると花粉症が出なくなるみたいですよね」とかいわれて(笑),「いくらなんでも40代になったばかりでおじいちゃんはないだろ」と思い,だんだん花粉症でなくなったことに「一抹の寂しさ」を感じるようになっていたのですね(今思えば,微塵も寂しさを感じる必要はありませんでした)。

 ところで以前は薬で止めていたといいましたが,去年は薬も全く飲まずに症状が出なかったんです。目もかゆくならず,くしゃみも出ずですね。それでそれまで毎年この時期になるとお互いにくしゃみをしながら髪を切ってもらう美容師さんに「じつは去年花粉症が出なかったんですよね。治ったみたいで」とプチ自慢をしたら,美容師さんから「僕も去年は出なかったんですよ」と。えっ? その後,いろいろな人に聞いたところ「去年は出なかったけど」という人がけっこういるみたいで,ガーンって感じでした。

 治ったのではなく,花粉が少なかっただけなのかと。でも,わたし中学生で無自覚のうちに発症して以来,花粉症が出ないという年は1度もなかったので,やっぱり去年は治ってたんだと思うんですよね。

 でもきっとそれをみんなが「枯れた」とか「おじいちゃん」とかいうもんだから,「やっぱり花粉症に戻りたいー」って潜在意識に働きかけちゃったんじゃないかと,反省しております。

 というか今年の花粉症,わたしのなかでは近年まれにみるひどさです。ツイッターで「花粉で鼻つまる」とか毎日のように書いていますが,いままでそんなことをつぶやいていた年があった記憶がありません。

 今年の花粉って何か違うんですかね?

 って,集中力もそぐ花粉には本当に困りますが,じつは1つだけ感謝しなければならないことがあるんです。

 このブログ。3か月間「ゆるゆる」になれずに更新できていなかったところに,あまりに花粉がひどくて意識がもうろうとしてきたんですね。そこに弘文堂の女性編集者お二人の顔が浮かんだのです。「先生,いまですよ!いまこそ書くべきです!ゆるゆる時間を!ってゆうか早く書けー」という心の声がきこえました。それで,この鼻たれ意識もうろうモードであれば,ゆるゆる時間を書けるぞ,久しぶりに書けるぞーって。

 で,書けました。やったー。3か月ぶりですね。って,これでは次回は来年になってしまいそうです。そんなことがないように,4月からの新年度で感じたことなどをまた書きたいと思っています(本当かなあ)。

 ということで,また次回お会いしましょー。

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